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自立支援 バックナンバー

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K・Sさん 80歳代の女性(要介護5)

1年前、「介護さーん、お部屋に戻って寝たいの」
ベッドに寝て30分程すると「介護さーん、起こして頂戴」を繰り返される。
夜間には、「介護さーん、身体がだるくて眠れないの。どうしたらいいの。薬を頂戴」などど頻繁に訴えられ眠られないK・Sさん。
日中に眠られる為に夜間はどうしても不眠となられることが多くなっていました。

そこで、日中は眠りたいとの訴えがあっても「昼間は起きておきましょう」と辛抱強く説得し続けることにし、計算が得意なK・Sさんには認知機能訓練として計算問題を解いてもらったり、指先のしびれを訴えられるのでボトルキャップで作った数字ならべ指先運動訓練などを行ってもらいました。

当初は「どうして寝せてくれないの、寝たいと言っているのに!」と反発されて渋々とホールで起きて過ごされる様な状況でした。
しかし、最近では「そうですよね、昼間は起きて、夜寝ないとダメですよね」と言われ、日中に眠い場合には、ご自分のタオルをテーブルに敷き枕にして眠られる事もありますが、部屋のベッドに横になるとは訴えられなくなり、夜間も良く眠られる様に。
そして、現在は毎日元気に午前午後と2回の歩行訓練を行われています。
1年前の眠り姫から一転、頑張り屋のK・Sさんです。

日中の移動はすべて車椅子を利用されています。
食事は、手がしびれる為にゴムバンドで専用スプーンを手に固定することによって自分で何とか食べることができます。
排泄は、日中はポータブルトイレを利用。
両足は、ふくらはぎの筋力低下等により体液が溜まり腫れが目立つ状態になっています。
手足のしびれがあると言われますが、血行が悪くなっているのが原因と思われます。
できることは自分でしたいとの意識も持っていらっしゃる方ですので、当施設では、立つ訓練を兼ねたトイレでの介助方法や歩行訓練をご本人の了解の元にはじめることにしました。
当然ながら、なかなか最初は自力で立つ状態も不安定ですし転倒などの危険もありました。
しかし、徐々にではありますがしっかり自分で立つ状態を保てる様になり、ポータブルトイレ利用から居室のトイレでの排泄が可能となりました。
自宅のトイレにある程度のスペースや手すりがあれば、車椅子からそのままトイレに座ることができます。
日中の運動量が増えた効果でしょうか、手のしびれの訴えが少なくなり食事時のスプーンはそのまま自力で持たれる様になりました。

次のステップとして、歩行器を利用した歩行訓練をはじめることになりました。
長い車椅子生活の影響は大きく足にしびれがあると訴えられます。
その為に10m程歩行訓練で「足がしびれるの」と歩けない状態になり休憩に。
しかし、根気よく毎日の歩行訓練を続けていると、20m、30mと休憩なしで歩ける距離が伸びていきました。
現在は、悪くても40mは歩けます。調子が良いときには80m一気に歩かれる事も。
両足のふくらはぎの腫れも徐々にですが減ってきました。
まだまだ、車椅子は離せない状態ではありますが、歩行器利用での移動が可能になると思われる方で、本人の意欲もありますのでこのまま続けていきたいと思っています。
車椅子から歩行器、さらに杖歩行にまでなった先には、自宅で生活される姿が待っていると期待しています。

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