韓国南西部珍島沖で沈没した旅客船

 韓国南西部珍島沖で沈没した旅客船「セウォル号」は、発生から1週間を経過し死者159人、安否不明者143人に及ぶ大事故であり、全世界が安否不明者の一日でも一時でも早い生還を願い、祈り続けている。

  さて、この事故は私どもに大きな警鐘をならした。それは過積載であることか操舵不具合であるとかの原因、問題ではない。事故発生から沈没まで2時間以上ありながら、なぜ乗客が脱出できなかったかの素朴な疑問である。
一方では、多くの乗客が船内に取り残され船長をはじめ多くの乗組員が助かったのはなぜかということである。

 マスコミ等は当然船長の行為を無責任であるとか不作為の殺人行為であるとかさまざまな報道を流し続けているが、今私どもが注視したいのは偶然同じ造船所で作られた同様の日本の旅客船が日本国内で座礁事故を起こし、
「セウォル号」と同じように、船が傾き沈没した事件である。今回の事故と乗客数の違いはあれども全員生還したのである。
この全員生還と大多数の死者、行方不明者をだした沈没事故の違いは何であるかとのことである。

 それは「事故対応」の日頃からの「そなえ」の問題であろう。「セウォル号」の船長は突然の事故に対し、
あまりにも突然でありすぎたため対応能力が完全に消失してしまったのであろう。結果的に自分一人の身を守る
ことで「精一杯」であったのではないか・・。やはりこのことは社会的にも法的にも責任を問われるのは当然の事であろう。それではこの様なことにならない為に私たちは何をしなければならないか。

 第1に常に起こりうる不測の事態を想像し、それの対処方法を検討することであろう。私たちの日常、あるいは仕事場は常に何らかのアクシデントが発生する。その発生に対応するのは当然のことであり、その対応力の良し悪しが私たちの施設運営の良し悪しの基準とさえ言えるほどである。それにも増し日常では起こりえない不測の事態も可能性として想像し、その対処の仕方も確定しておく必要がある。 それが「防災マニュアル」であろう。

 第2にその「防災マニュアル等」に従い、手と足と頭を使った実践により近い状況訓練を常に実施していることであろう。「不測の事態」は当然、突然やってくる。その時今までに想像し、その対応の仕方を訓練していれば必然的に体が動くはずである。いや、対応可能になるまで何回も何回も繰り返し、実施し、また忘れないよう定期的に実施する必要がある。今回の「セウォル号」は結果から見れば日頃の防災訓練を怠ったことは明らかである。

 今、私どもはこの大事故を考える場合、文字通り対岸の火事である。日頃の防災意識の高揚と定期的な防災訓練の必要性を改めて喚起させられる事故であると思う。何せ私どもは高齢者の命を預かる仕事をしているわけですから。

2014年4月24日 金澤 剛


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